(主)高岡環状線 高架化事業の一部供用について

- 富山県高岡土木センター
高規格道路の整備による道路ネットワークの機能向上
抄 録
| 主要地方道高岡環状線は高規格道路である高岡環状道路の一部を担う道路であり、現在、県では暫定2車線により本線の高架化整備を進めています。このうち、南郷大橋(高岡市上伏間江)~二塚高架橋(高岡市二塚)の約1.3kmの区間について、令和7年3月に完成し供用開始しましたので、ご報告します。 |
1 はじめに
主要地方道高岡環状線は、高岡市の市街地を環状に結ぶ幹線道路であるとともに、高速道路などを補完する地域高規格道路として計画された「高岡環状道路」の一部を担う道路であります。
県では、庄川に架かる南郷大橋左岸(高岡市上伏間江)から国道8号(高岡市六家)までの約5.2kmについて、平成4年度から道路改築事業に着手しました。平成26年度までに暫定平面2車線(一部JR線立体交差を含む)で全線の供用を図り、平成27年度からは、暫定2車線により本線の高架化整備を進めています。
このうち、南郷大橋左岸(高岡市上伏間江)からJR城端線を跨ぐ二塚高架橋(高岡市二塚)の約1.3kmの区間について、令和7年3月に完成し供用開始しましたので、ご報告します。

2 事業概要(3期事業:暫定2車線高架化)
路 線 名:主要地方道 高岡環状線
事業箇所:高岡市上伏間江~佐野
事業延長:L=2.6 km
道路規格:第3種第1級
設計速度:V=80 km/h
幅 員:道路総幅員 W=65.0 m
本線高架橋 W=7.0 (9.5) m

3 工事の施工
(1) 交差点部の県道上下線分離
高架橋の施工のため、県道の上下線を分離し、交差点のセパレート化を行いました。当区間には主要な交差点が2箇所あり(二塚交差点と二塚(西)交差点)、これらが近接していることから、交通の安全を考慮し、2箇所同時に分離を行いました。
分離にあたっては、交差点形状が大きく変わるため、安全で分かり易いように段階的に分離を進めましたが、信号制御が全方向矢印現示になり、これまでの信号制御から大きく変わったこと等から、分離後しばらくの間は一般車両への周知に苦心しました。

(2) 橋梁下部工
高架橋の橋梁下部工は、杭基礎によるT型橋脚及び3柱式ラーメン橋脚を基本とし、橋台は逆T式としました。当該地区は地下水が豊富でその利用が大変多いため、基礎杭は水質への影響が少ない中掘鋼管杭を採用しました。
下部工の施工にあたっては、暑中・寒中コンクリートなど環境に応じた対策を確実に行いながら、橋脚、橋台合わせて37基を施工しました。
また、施工現場は上下線を分離した県道に挟まれた道路中央部で、交通量の多い道路に近接しての施工となったため、車道への吊荷のはみ出し防止や杭施工時の排土飛散防止など、通行車両等の第三者に対する安全対策には特に注意しながら施工を進めました。

(3) 橋梁上部工
高架橋の橋梁形式は、一般部はプレテンション方式のPC橋で最大6径間連結T桁橋とし、交差点部は支間長を確保するため鋼鈑桁橋としました。
上部工の施工にあたっては、PC橋、鋼橋ともに未施工の反対側上り線部分を作業ヤードとして利用して、架設を行いました。
特に交差点直上の鋼鈑桁橋は、2本の主桁を対傾構及び横構と連結し地組した上で、大型クレーンを用いて夜間に架設を行いました。限られた時間内で安全に架設作業を行うため、事前にCIM(3次元モデル)を用いた架設シミュレーション等を行い、安全かつ正確に架設作業を行うことができました。

4 高架化整備の事業効果
当区間は2万台近くの日交通量があり、二塚交差点は主要渋滞箇所に指定されています。また、近傍には北陸新幹線の新高岡駅や、大型商業施設(イオンモール高岡)が立地しているため交通が集中し、慢性的な交通渋滞を引き起こしていることから早急な対策が求められていました。
この高架化整備により、交通渋滞の緩和や交通事故の削減のみならず、北陸新幹線の新高岡駅へのアクセス向上や能越自動車道高岡IC、国道8号、国道156号、北陸自動車道小杉IC及び富山市との東西の連絡が強化され、地域観光・産業・経済の活性化に寄与することが期待されています。
5 おわりに
平成4年度の着手から33年が経過しました。事業に携わられた方々の多大なるご尽力のおかげで、一部区間ではありますが、高架化の供用まで進めることができました。引き続き、全区間の高架化の早期完成を目指し、整備促進に努めたいと考えています。
●問い合わせ先
富山県高岡土木センター
管理検査課 プロジェクト推進班
TEL(0766)26-8483