北陸インフラDX人材育成センター立ち上げから1年の歩み

- 国土交通省 北陸地方整備局
- 北陸技術事務所 品質調査課
- 田邊 剛
■概要
北陸インフラDX人材育成センターは、建設業におけるDXの推進と、それを担う人材の育成を目的に、2024年3月27日に新潟市西区の北陸技術事務所敷地内に開所しました。
同年7月より一般向けの体験受け入れを開始し、DXに関する体験や研修の場として、多くの方にご利用いただいています。
設立後1年を迎え、この1年の活動内容を報告します。
北陸インフラDX人材育成センター 全体図
下記URLより当センターの紹介動画をご視聴いただけます。
https://youtu.be/3GH5n41IbUg
■施設紹介
北陸インフラDX人材育成センターの各施設では、様々なDX技術の体験、研修ができます。
当センターは3つの施設で構成されており、①各種シミュレータを備えた「DXルーム」、②3次元データモデルの作成やICT施工に関する研修を行うための「研修ルーム」、③遠隔操縦対応型バックホウの遠隔操作実習や盛土施工体験ができる「屋外実習エリア」を、広く一般に開放し「DX体験」の提供を行っています。
①DXルーム
DXルームでは、以下の建設関連のDX技術をシミュレーションで体験していただけます。
・VR体験
VRゴーグルを装着し、VR空間内で堤防や樋門等の河川構造物や、橋梁の点検を体験することができます。
・遠隔臨場体験
ウェアラブルカメラ等を用いて、現場に足を運ぶことなく、臨場を行う「遠隔臨場」の体験ができます。カメラとマイク付きイヤホンを装着した屋外測定作業と、DXルーム内でカメラ映像を見ながらの実地検査を体験することができます。
・バックホウシミュレータ
バックホウの運転席を再現した操縦席で、土砂の掘削等のバックホウ操作を体験することができます。
・除雪トラックシミュレータ
除雪トラックの運転席を再現した操縦席で、除雪作業の体験を行うことができます。マニュアル操作モードでは、操作盤を用いた除雪作業体験も可能です。
・UAV(ドローン)シミュレータ
UAV(ドローン)の実製品を再現したコントローラを用いて、場所や天候を気にせず、モニター上でUAV操作を体験することができます。また、本体に異常が発生した際の挙動を体験することもできます。
・3D測量体験
LiDAR機能が搭載されたタブレット端末を用いて、構造物等を三次元的にスキャンし、作成した3Dモデルから寸法等を測定する体験ができます。
②研修ルーム
研修ルームにはBIM/CIM対応のパソコンが設置されており、BIM/CIMモデルの操作体験やICT施工に関する研修を受けることが可能です。DXデータセンターより、実際に納品されたBIM/CIMモデルを閲覧することもできます。
研修ルーム
③屋外実習エリア
屋外実習エリアでは、遠隔操縦対応型バックホウ(0.8m3級)による、実習盛土の掘削整形等の操作体験を行えます(※車両系建設機械運転技能講習修了者対象。左記資格のない方には、職員による運転と説明を見学していただけます)。
遠隔操作室から直接目視による操作、または室内のモニターを見ながら操作を行います。ICT施工(2Dマシンコントロール)の体験も可能です。
■主な活動・イベント
国土交通省職員、地方自治体職員、民間企業,高校生から未就学児まで、インフラ分野に関わる方々だけでなく、一般の方々も含め、2025年3月31日までの1年間で延べ890名(出張DXルームin富山含む)の方にご来場いただきました。
将来の建設業に携わる人材の育成に向け、期待のこもった前向きなご意見・ご感想を頂きました。
・来場者アンケート
これまでに参加・開催したイベントを以下に示します。
① 北陸地方整備局見学デー(2024月7日31日)
北陸地方整備局では、地域住民、特に子供たちやそのご家族に向けた「見学デー」を毎年開催しています。将 来の建設業を担う子どもたちに関心を持ってもらうことを目的に、当センターもDXルームを出張開催しました。
来場者には、VR技術を活用した仮想現実の体験やタブレットを使った3D測量体験など、最新の建設技術に触れていただく機会を提供しました。
・会場:北陸地方整備局 美咲町合同庁舎(4階)
・来場者:96名
北陸地方整備局見学デーの体験状況
② 高校生向けDX体験会
将来を担う若い世代に、建設業への関心を持ってもらうため、通常の北陸インフラDX人材育成センターでの体験を高校生向けにアレンジした体験会を開催しました。
DX体験・CIM体験を通じて、インフラDXの基礎知識や建設現場の進化を伝えると同時に、実際の遠隔バックホウ操作や災害対策車の見学を通して、最新技術や建設業の役割を体感していただきました。
・2024年10月21日:新潟県立新発田南高等学校(土木工学科2年生生徒35名、引率2名 計37名)
・2025年 1月21日:新潟県立新潟工業高等学校(土木科2年生生徒31名、引率2名 計33名)
・会場:北陸技術事務所
高校生のアンケート調査結果
体験会に参加した高校生のご意見・ご感想
・「VRやドローンの体験により現代の測量技術を知れた」
・「リアルな機器操作体験により,楽しく学べた」
・「遠隔でバックホウ操作ができることが分かった」
VR体験の様子 研修ルームでのCIM体験の様子
③ 出張DXルームin富山(2024年12月3日~5日 計3日間)
北陸地方整備局管内は東西に広く、北陸DXセンターが東部(新潟市内)に設置されているため、西部地区(富山県・石川県等)の関係者にとっては来場が難しい状況でした。
こうした地理的な課題を踏まえ、西部地区からの開催要望に応える形で、DX体験機器を富山出張所(富山防災センター)へ移設し、「出張DXルームin富山」を企画・開催しました。
多くの参加者から好評を得るとともに、北陸の地理的制約を克服した運営の成功事例となりました。
・会場:国土交通省 北陸技術事務所 富山出張所 2階災害対策室
・来場者:113名
出張DXルームin富山の開催状況
④研修ルームでの研修活動
研修ルームでは、建設分野の各段階におけるDX技術を学ぶことができる研修を行っています。令和6年度には、初級から中級者を対象にした研修を計6回開催しました。
表 令和6年度 研修実施内容
【中級】3次元測量(3次元データ作成)研修の様子
■広報・メディア紹介
北陸インフラDX人材育成センターへの来場を促進するため、SNSやパンフレットを活用した広報活動および情報発信を行っています。
・公式HP:https://www.hrr.mlit.go.jp/hokugi/dx/
施設の紹介や各種お知らせが掲載されています。
予約および問い合わせ窓口もこちらからどうぞ。
・SNS(X):@hokuriku_DX(https://x.com/hokuriku_DX)
建設業界に関わりのない一般の方も対象に、体験コンテンツの紹介や、来場者の感想等を発信しています。
開所時X投稿 イベント後のX投稿
・パンフレットや動画による広報
来場者向けの施設紹介パンフレットや、小・中高生向けに社会インフラおよび関係するデジタル技術の役割を伝えるパンフレットを作成しました。イベント出展時や北陸インフラDX人材育成センターの一般開放時に配布しています。
また、北陸インフラDX人材育成センターを紹介する動画を作成し、YouTubeやHP、SNSに掲載するほか、イベント会場や北陸インフラDX人材育成センター内で放映しています。
施設紹介パンフレット
https://www.hrr.mlit.go.jp/hokugi/wp-content/uploads/2024/08/dx_leaflet.pdf
小学生向けパンフレット
https://www.hrr.mlit.go.jp/hokugi/wp-content/uploads/2025/08/dx_leafletS.pdf
中学生向けパンフレット
https://www.hrr.mlit.go.jp/hokugi/wp-content/uploads/2025/08/dx_leafletC.pdf
北陸インフラDX人材育成センター紹介動画 ※冒頭の動画と同じ
https://youtu.be/3GH5n41IbUg
施設紹介パンフレット 小学生向けパンフレット
・メディアでの紹介
地元新潟県のテレビ局が北陸DXセンターを訪れ、情報番組で取材が行われました。
番組では、地元タレントが実際にDX技術を体験する様子を通じて、建設業界で進むDX化の現状や防災分野での活用事例が紹介されました。テレビ取材をお知らせしたXの投稿は1.5万回以上閲覧され、番組のYouTube配信にも好意的なご感想が寄せられています。
番組は以下のYouTubeからもご覧いただけます。
チャンネル名:NSTチャンネル「だいすき!にいがた!チャンネル」
動画タイトル:土木技術の進化「建設現場が変わる」 北陸インフラDX人材育成センターが示すVRとドローンの活用 若手入職者増加なるか!?
https://youtu.be/5duezE03L6Y
■令和7年度の取り組み
これまで記載した通り、令和6年度は、北陸インフラDX人材育成センターが開所してから様々な取り組みを行ってきました。
令和7年度も引き続き、北陸インフラDX人材育成センターを運営しており、開催した主なイベントは以下の通りです。
①出張DXルームin金沢(2025年7月15日~17日 計3日間)
令和6年度には出張DXルームを富山出張所で開催しましたが、令和7年度は「出張DXルームin金沢」を金沢流通会館で開催いたしました。定員の160名を超える申し込みがあり、各種シミュレータ等を体験していただきました。
今後も、北陸地方整備局管内のより多くの方にDX技術を体験していただくため、遠方での出張開催に取組みます。
・会場:金沢流通会館 2F 小ホール2・3
・来場者:170名
出張DXルームin金沢の開催状況
②北陸地方整備局見学デー(2025月7日31日)
令和6年度と同様に、地域住民、特に子供たちやそのご家族に向けた「見学デー」にて、DXルームを出張開催しました。
来場者には、VR技術を活用した仮想現実や除雪トラックシミュレータでの除雪トラック操作体験など、最新の建設技術を体験していただきました。
・会場:北陸地方整備局 美咲町合同庁舎(4階)
・来場者:81名
北陸地方整備局見学デーの体験状況
■まとめ
北陸インフラDX人材育成センターは、北陸地方の建設業界におけるインフラDXの推進と、それを担う人材の育成を目的に開所し、1年を迎えました。
この中核的な取り組みである「DX体験」は、建設分野のDX技術に気軽に触れ、関心を持ってもらう「入り口」としての役割を果たしており、今後も「DX体験」の内容をバージョンアップさせながら、より魅力的で実効性のあるプログラムづくりと運営に取り組んでいきます。
皆様のご来場を、心よりお待ちしております。
■利用案内(予約方法)
北陸インフラDX人材育成センターでは、どなたでも参加できる一般開放を受け付けています。
詳細及び利用申し込みは、以下をご確認ください。
▶予約ページ
https://reserva.be/hokugi/reserve?mode=service_staff&search_evt_no=68eJwzMTQxNTcCAARCATg
・体験受入日:毎週火曜日(行政機関の開庁日)
・1団体につき、最大8名までご利用いただけます。
・中学生以下は、1名以上の引率者(18歳以上)をお願いします。
※災害対応等の理由で、やむを得ず見学中止となる場合があります。
※利用者(利用者の随行者も含む)の責において施設を毀損したり、道具を破損させた場合は、施設等を修理又は損害額を弁償していただきます。




























