国道403号「三条北道路」の全線開通

- 新潟県 三条地域振興局
- 地域整備部 道路課
国道403号バイパス事業について
| 昭和55年の「新潟・新津・三条線国道昇格並びに整備促進期成同盟会」発足以来、物流・経済活動の強化や渋滞緩和、交通安全の向上等を目的にバイパス整備を進めてきました。そのバイパス構想のうち、令和6年3月に開通した「三条北道路」について紹介します。 |
1.はじめに
新潟県三条地域振興局は、三条市、燕市、加茂市、南蒲原郡田上町及び西蒲原郡弥彦村の3市1町1村を管轄しています。この地域は、新潟県の中央付近に位置していることから「県央地域」とも呼ばれ、「県央」は病院や高等学校等の名称に使用されるなど県民にも広く認知されています。管内の面積は約730平方キロメートル、約20万人が暮らしています。中央に広がる越後平野を信濃川が縦貫し、西部には弥彦山を含む国定公園が、東部には、栗ヶ岳・守門岳に代表される県立自然公園・国定公園があり、東部の山々からは、五十嵐川、加茂川などが豊かな水を信濃川へ注ぐ、自然に育まれた地域です。
三条・燕両市を中心に金属加工業が盛んで、その高度な金属加工技術は、国内はもちろん世界的にも高く評価されています。ものづくりの伝統は江戸時代初期まで遡り、水害で生活に困っている農民を救済するために副業として和釘づくりを地域に広めたのが始まりとも言われています。また、加茂市周辺では木工業も盛んで、桐箪笥の全国有数の産地となっています。

2.国道403号について
国道403号は、新潟市を起点に、田上町、加茂市、三条市を経由し、長野県松本市に至る延長350㎞の幹線道路です。昭和50年代、この地域周辺では北陸自動車道や上越新幹線が開通したほか、磐越自動車道の建設などが進められていました。そこで、来たる高速交通時代に即応できるようにするため、当時、県道だった新潟新津三条線の国道昇格と早期バイパス化を目指し、昭和57年に国道認定(新潟市江南区~三条市)されました。県央地区の信濃川右岸側を南北に結ぶ区間は、この地域にとって、北陸自動車道や上越新幹線などの高速交通体系に連絡する産業経済の動脈として、あるいは通勤通学等の生活道路として欠くことのできない重要な道路となっています。しかし、各所で渋滞が発生し社会経済活動に支障をきたしているほか、幅員狭小で歩道未整備区間も多くあり、朝夕は通勤通学の車と歩行者が混在し、安全な通行が確保されているとは言えません。このような状況を解消するため、国道403号のバイパス整備に着手(昭和59年度に「三条北道路」、平成8年度に「小須戸・田上バイパス」)しました。また、本路線は第2次緊急輸送道路に指定されていますが、平成23年の新潟福島豪雨の際には冠水する区間が発生する等、避難や救命・救急活動において防災上の課題もあり、安全・安心で災害に強い道路ネットワークの早期構築が望まれていました。そのような中、着実に整備を進め「小須戸・田上バイパス」は令和2年3月22日に全線供用(暫定2車線)し、「三条北道路」は令和6年3月23日に全線供用(暫定2車線)となりました。
ここでは「三条北道路」について紹介します。

3.事業の概要

路線名 :一般国道403号
事業箇所 :三条市塚野目~南蒲原郡田上町羽生田
計画延長 :L=8.32㎞
計画幅員 :13.0m(車道3.25m×2、歩道3.50m(暫定2車線供用))
構造規格 :3種2級(60㎞/h)
事業期間 :昭和59年度~令和6年度
全体事業費:約256億円
指定道路 :第2次緊急輸送道路

<事業効果>
・走行時間短縮および走行経費減少
・現道における歩行者の交通安全の確保
・通過交通の分散と渋滞の緩和による交通・物流の効率化
・第2次緊急輸送道路としての機能強化と代替性の確保
・信濃川右岸の新潟市~田上町~加茂市~三条市の連携強化
・県央基幹病院への搬送時間短縮による救命率の向上(令和6年3月開院)
4.工事の概要
■軟弱地盤対策
三条北道路の計画地は、丘陵と信濃川に挟まれた沖積平野の中央に位置し、周辺一帯は水田として利用されていました。信濃川、加茂川、丘陵からの中小河川により運搬堆積した氾濫原低地で軟らかい地盤であったため、軟弱地盤対策を施しながらの道路整備となりました。対策区間の多くは盛土荷重載荷により圧密沈下を促す工法(サーチャージ工法、プレロード工法)を採用しましたが、人家付近で宅地の引込沈下が懸念される箇所については軽量盛土工法、また、工程上、サーチャージ工法等の放置期間を確保できない箇所については、深層混合処理工法による地盤改良を行うなど、状況に応じた対策を実施しながら進めました。



■遺跡調査
三条北道路の計画ルート上には、多くの埋蔵文化財包蔵地が確認されており、本事業を進めるにあたり、貴重な文化財である先人たちの営みを記録すべく、各市町の協力のもと遺跡調査が行われました。



また、地域の子供たちに普段あまり見ることのない貴重な機会に触れてもらおうと、遺跡調査現場と工事現場の親子見学会を開催し、多くの方から参加いただきました。

5.全線開通
令和6年3月23日、三条市塚野目(一般県道塚野目代官島線)~三条市下保内(三条市道新田川線)間のL=3.18㎞の開通を迎え、昭和59年の事業開始からおよそ40年という長い年月を経て全線開通となりました。


また、開通に先立ち式典が催され、地元選出国会議員をはじめ、地元首長や地権者など、関係各所より多数出席のもと盛大に執り行われました。

6.バイパス開通の効果
三条北道路開通の効果を確認するため、交通量調査を実施しました。調査は、今回開通した区間周辺の主要交差点において、7時~19時の12時間の交通量を計測し、そのうち7時~10時及び16時~19時の6時間では渋滞長も計測しました。

バイパスの開通により、国道403号の「井栗公民館入口」交差点では、交通量が平日で17%、休日で27%減少し、最大渋滞長は平日で26%、休日で9%減少しました。

同じく国道403号の「上保内」交差点でも、交通量が平日で19%、休日で26%減少し、最大渋滞長は、平日で25%減少しています。

また、バイパスの北側に並行している主要地方道新潟小須戸三条線の「川西」交差点においても、平日で3%、休日で18%減少する結果となりました。一方、三条北道路の「下条・矢立」交差点では、平日で40%、休日で19%増加しました。これは、以前はバイパスが行き止まりだったことで、「丸潟」交差点から並行する周辺道路へ流れていた交通が、今回の開通を以ってバイパスを利用する交通に切り替わったものと考えられます。

これらの結果から、バイパスの開通により周辺道路からバイパスへの交通の転換が図られているものと推察され、また、そのことが周辺道路の渋滞緩和や歩行者交通の安全性向上につながっていくものと考えております。
7.おわりに
三条北道路の完成に至るまで、非常に多くの方からご協力いただきました。事業の推進にご尽力いただきました関係者の皆様、長期間の工事にご理解・ご協力いただきました地域の皆様など、長きにわたり支えてくださいました皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。また、開通直前は、県央地域の医療の要となる済生会新潟県央基幹病院の開院に合わせての開通を目標に、施工・工程調整等工事関係者の皆様のご尽力のもと、開院と同時期に開通させることができました。重ねて感謝申し上げます。
三条北道路の開通により、一定程度交通の分散が図られ、その効果も見られているところではありますが、三条市街地では国道289号等幹線道路の渋滞が慢性化しており、経済活動や救急活動の障害となっています。これらの課題の解消に向け、引き続き関係各所と協力しながら、効果的な道路整備によりこの地域の発展に貢献すべく取り組んで参ります。
■問い合わせ先
新潟県 三条地域振興局 地域整備部 道路課
電話:0256-36-2314