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2025.12.18
トピックス

下水道の大切さを伝えたい!~学生たちとの下水道広報の取り組み~

下水道サービスを持続可能なものにするためには、市民からの下水道事業への理解と支持を得ることが重要です。新潟市下水道部では、従来の広報の取り組みに加え、市内専門学校と協働し、学生たちが自ら計画して実践する下水道広報を支援・展開しています。令和4年度に始まったこの取り組みは、現在、初代から数えて4代目の学生たちに受け継がれて、なお継続中です。

下水道カードゲームの指導(令和6年7月)

1.新潟市下水道部 PRプロジェクト
 新潟市下水道部はこれまで、部内横断的なPR(広報)プロジェクトチームを立ち上げ、イベントやウェブ・SNS、印刷物、マンホールカードなどさまざまな媒体を活用し、市の下水道事業について発信してきました。主な実績として、マンガ・アニメの祭典として毎年新潟市内で開かれる「がたふぇす」でのデザインマンホール展示や、循環のみち下水道賞で国土交通大臣賞を受賞した「しゃべるマンホール」設置などがあります。

2.新潟法律大学校との協働
 令和3年度に、新潟市内にある新潟法律大学校から、自治体との協働をつうじて公共的な課題解決を学びたいが、何かテーマを提示してもらえないか、とご相談いただきました。それがきっかけとなり、下水道事業の広報について、市下水道部と学校との協働の取り組みが始まりました。
 取り組みの計画や実施は学校が主体的に行い、市下水道部は学校の活動を支援する、という協働のスタイルをとりました。学生たちの施設見学受け入れや、学校へ職員を講師として派遣する、また、学生たちが企画した内容を監修する、などをつうじて、学校の下水道広報に関する取り組みの包括的な後援を行うこととしたのです。
 以来、先輩から後輩へと受け継がれ、活動は現在4年目を迎えています。
 協働の活動として最初に行ったのは、行政広報と下水道事業に関する出張講義でした。我々にとっては、100名を超える若者たちに下水道の話を聞いてもらえる貴重な機会となりました。当時はまだコロナ禍が収束しておらず、オンラインでの講義となりました。
 次いで、下水道部で行っている小学校への出前授業の現場や下水処理施設を実際に学生たちにも見てもらいました。

3.学生たちの奮闘
 自らのアイデアと行動力で下水道事業をPRしよう、と、学生有志からなる「Gゼミ(下水道ゼミ)が立ち上がりました。学生たちからの下水道広報に関する企画案は、当初は、「面白い動画でPR」のような、今どきの若者らしいものがありました。が、市の出前授業を見学して、自分たちも誰かに教えてみたい、という気持ちが生まれたようでした。また、実際の下水処理の現場で、汚泥が発電や建設材料、肥料に再利用されていることに関心が集まっていました。汚水の処理や水害防止のほかに「廃棄物を再利用できるなんて」下水道は凄い!という印象を持ったようです。持続可能性につながる取り組みは、Z世代である学生たちにとってこれほど響くものなのか、と驚きました。

中部下水処理場の見学 (令和4年8月)

 こうした経験を経て、学生たちは、自分たちが先生となって、より若い世代に下水道の役割を伝える「下水道授業」を企画しました。令和4年8月には「夏休み自由研究教室」として小学生と保護者向けイベント、同年11月には探究学習の正課授業として県立高校に出前授業を実施し、いずれも大変好評でした。

夏休み自由研究教室 (令和4年8月)

4.下水道カードゲームの企画・開発へ
 翌年の令和5年度も継続して、夏休み自由研究教室の開催や中学生向け土曜講座など、下水道を伝える取り組みを続けたGゼミ。ゼミの中心メンバーも後輩に引き継がれたのを機に、これまでの一期一会の授業スタイルではなく、再現性が高く継続して使えるコミュニケーションツールの模索を始めました。結果、若者世代に親しまれているトレーディングカードゲームで下水道の素晴らしさを伝えることに挑戦することとなりました。
 Gゼミ2代目にあたる令和5年度には、ゲームのコンセプトとルール、カード券面のデザインと、券面に記載するさまざまな下水道事業の事例の収集を進めました。ゲームは2人対戦型で、循環型経済(サーキュラーエコノミー)における下水道システムの働きを学ぶことができる内容としました。
 さらに翌年の令和6年度、3代目に入ったGゼミは、全国の下水道事業の事例をゲーム用カードに実装するため、各都市の事例を紹介する文案の作成と画像データの収集を行いました。市は、初期段階での各都市への取り次ぎと、途中での文案監修を行いましたが、文案の作成から自治体等への最終チェックの依頼までは学生たちが自ら行いました。平行して、ゲームルールの修正も進めていたようです。学校の正課授業との両立は大変だったようですが、Gゼミ生は最後までやり抜きました。下水道カードゲーム「Circular Economy 水deck」が完成したのです。
 令和6年11月には、新潟市下水道部職員研修会で、完成したゲームのお披露目を兼ねて、講師役となって市職員たちへゲーム指導をしました。

同年12月には、「サイエンスカフェにいがた」で参加の市民に、令和7年8月には新潟市で開催された大都市下水道計画研究会で参加都市職員に、同年9月には新潟市のインターン学生に向けてそれぞれ発表・ゲーム指導を行いました。
 また、8月に大阪で開催された下水道展における「下水道の市民科学」セッションでは、Gゼミ生たちが登壇し、これまでの活動成果を発表しました。9月には、GKP未来会で民間事業者の皆さんとともに活動するなど、活躍の場を広げています。

5.活動が数々の賞を受賞
 このような成果をもって、いくつかのコンペティションに応募し、いずれも高い評価をいただきました。
 大学主催のコンテストでは、東京大学の「チャレンジ!オープンガバナンス」に2022年、2023年と連続で入賞、早稲田大学の「EMIRAビジコン2025」では、最優秀賞に輝きました。審査員の満場一致の結果だったそうです。
 下水道の部門では、国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」広報・教育部門で令和5年度と令和7年度に受賞(市との共同受賞)、GKP広報大賞では令和6年度に準グランプリとなりました。
 そして、第27回日本水大賞では、審査部会特別賞を受賞する栄誉にあずかりました。

循環のみち下水道賞 表彰式(令和5年9月)

早稲田大学 最終審査プレゼン (令和7年2月)
早稲田大学 表彰式 (令和7年2月)
日本水大賞表彰式 事例発表(令和7年7月)

6.学生たちとの協働は良いことづくめ
 新潟法律大学校からの依頼をいただいた時点では、「出張講義で若い世代に下水道の話を聞いてもらえるだけでも貴重な機会なのだから、まずは一緒に始めてみよう」という程度の思いでいたのですが、学生たちの若者らしい視座や、誰かに伝えたいという情熱、何より彼ら彼女らの優秀さと勤勉さが、想像以上の素晴らしい結果につながったと感じています。協働に一緒に携わった職員(※ともに50代です)と幾度となく感心したのは、学生たちの手による授業シナリオの構成や資料等のために作った図のデザインの巧みさです。若者たちの言語コミュニケーションや視覚的表現の力が優れていると感じるのは、育った時代の違いもあるのかもしれませんが、私たちが学ぶことがたくさんありました。
 学生たちにとっては、実践的な学びに加え、就職活動時にしばしば求められる「学生時代に力を入れたこと(※いわゆる「ガクチカ」)」エピソードとして、協働の取り組み経験が役に立ったと聞きました。ある学生は、就職採用面接で下水道広報に関わったことを話すと、面接相手の役員が熱心に聞いてくれた、と話していました。コンテストでの受賞も然り、全ては学生たちの努力の結果ということに尽きるのですが、私たちと一緒に取り組んだことが学生たち自身のためにもなったことはとても嬉しいことでした。

 現在は、下水道カードゲーム「Circular Economy 水deck」のウェブサイト立ち上げ準備を進めています。環境教育の教材として、また、下水道啓発のツールとして、たくさんの人たちにカードゲームのことを知っていただき、楽しく遊びながら下水道のはたらきを学んでいただければと願っています。

【関連リンク】

令和7年度(第18回)国土交通大臣賞「循環のみち下水道賞」を受賞しました

https://www.city.niigata.lg.jp/kurashi/jyogesuido/gesui/oshirase/R07jusyou.html

●問い合わせ先
新潟市下水道部 西部地域下水道事務所
TEL(025)370-6370

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