能登半島地震災害復旧工事(舗装工)の施工報告

- 株式会社 佐藤渡辺
- 北陸支店
- 小林 吉行
応急復旧から本復旧への施工事例
令和6年(2024年)1月1日に発生した能登半島地震では、多くの道路で舗装の損傷や段差、陥没、地盤変状が発生し、交通機能が大きく低下した。そのため、まずは緊急車両や生活道路を確保するための仮復旧工事が実施され、その後、安全性・耐久性を回復するための本復旧工事へと段階的に移行した。
本レポートでは、仮復旧から本復旧へ移行する舗装復旧工事を対象に、施工の流れ、施工管理上の留意点、被災地特有の施工条件について報告する。
工事概要
工事名 :R6 能越道徳田大津高田舗装復旧工事
工事場所:石川県羽咋郡志賀町徳田~七尾市高田町
工 期 :令和6年11月25日~令和8年2月27日
工事内容:工事延長 4,506m、舗装打換え工 5,669m2、切削オーバーレイ工 14,086m2、
オーバーレイ工 18,793m2
1.被災状況
地震の影響により、橋梁と盛土の境界部では段差や沈下が発生し、地震直後には交通機能を確保するため応急的な仮復旧が実施された。しかし、仮復旧はあくまで一時的な措置であり、長期的な安全性や走行性を確保するためには本復旧が必要であった。
本工事では、損傷状況に応じて舗装打換え工、切削オーバーレイ工およびオーバーレイ工を実施し、橋梁前後の段差を解消するとともに、舗装の耐久性および走行性の回復を図った。施工にあたっては、供用中の自動車専用道路であることから交通への影響を最小限に抑え、安全管理、品質管理および工程管理を徹底しながら施工を行った。
2.事前調査
本復旧工事に先立ち、沈下状況の把握および復旧方法を検討するため、現地測量を実施するとともに、道路建設時の計画図面データとの比較を行った。
その結果、橋梁部を基準として路面高を確認したところ、橋梁前後の盛土区間において沈下が発生しており、その影響範囲は橋梁部から約20m程度の範囲で終息していることが確認された。
また、既存資料の確認により、本区間は平成初期に建設された道路であり、橋梁部と盛土部の境界における段差対策として一般的に設置される踏掛版が施工されていない構造であることが判明した。


3.既設構造の確認・復旧方法
本復旧に向けて、既設舗装の構成を確認した結果、対象区間の舗装は上層から表層、基層、上層路盤(アスファルト安定処理)、上層路盤(粒調路盤)、下層路盤で構成されていることを確認した。
事前調査による測量結果および既設舗装状況の確認から、橋梁部から約30mの範囲については、地震による沈下の影響が大きく、路面高さの回復および支持力の確保が必要であると判断した。
そのため、当該区間については、既設舗装を上層路盤(アスファルト安定処理)から上部まで撤去し、路盤状況を確認した上で舗装打換えによる復旧を行う方針とした。
一方、橋梁部から30m以外の沈下影響範囲については、既設舗装の健全性および沈下状況を考慮し、既設舗装を2層切削した後、切削オーバーレイ工による復旧を行うこととした。


4.施工上の課題と対応
事前調査により、橋梁部の応急復旧箇所では舗装厚が約25cm~60cmと通常区間より厚く施工されていることを確認しており、施工効率の向上を目的として、切削機による表層・基層・上層路盤部分の切削と、バックホウによる厚層部の撤去を併用する施工方法を検討した。切削機で上部舗装を効率的に撤去した後、残存する厚層部をバックホウで処理することで、作業時間の短縮と施工性の向上を図った。また、特に橋梁端部の路盤施工では、十分な締固め効果を得るため、強力な振動コンパクターを使用し、施工箇所の状況に応じた入念な転圧を行った。
能登半島地震後の復旧工事が集中する中、舗装資材や建設機械などの資機材需要がひっ迫しており、必要な資機材の確保が施工工程に大きく影響する状況であった為、本工事では施工時期や施工量を踏まえ、早期に資機材の必要数量や搬入時期を確認し、供給元との調整を行うことで安定した資材確保に努めた。また、アスファルト合材は遠隔地(約60㎞)からの資材供給となることから、運搬時間や搬入可能数量を考慮した施工サイクルを事前に計画し、材料待ちによる工程遅延が発生しないよう管理を行った。

舗装復旧の影響により、既設防護柵の高さや設置状態が道路構造基準に適合しなくなるため、対象箇所については防護柵の更新を実施した。
防護柵の復旧にあたっては、路面高さとの整合を確認し、所定の設置高さおよび機能を確保することで、道路利用者の安全性を維持するとともに、付帯施設としての機能回復を図った。


5.交通確保
本災害復旧工事は、区間特性に応じた交通規制方式(単路部は昼間片側交互通行・ランプ部は夜間通行止め)を適切に組み合わせることで、交通影響を最小限に抑えつつ、安全かつ効率的に施工を進めることができた。
6.まとめ
本工事は、令和6年能登半島地震により発生したのと里山海道の道路及び、橋梁前後における路面沈下および段差を解消し、道路機能を本来の状態へ回復することを目的として実施した。今回の工事を通じ災害復旧においては、早期の交通確保を目的とした仮復旧だけでなく、将来的な耐久性や安全性を考慮した本復旧が重要であることを再認識した。今後の災害復旧工事において受注期会があれば、今回の経験を生かし現地条件の把握適切な施工方法を重視し、安全で信頼性の高い道路機能の回復に努めていきたい。
■問い合わせ先
株式会社 佐藤渡辺 北陸支店
電話:076-465-5400 / Eメール:kobayashi-yoshiyuki@watanabesato.co.jp